碧の日々徒然

碧の日々のことを徒然と

映画31本目 『感染』2004年公開作品

早よ寝ろという虫の音が聞こえ始めましたが、今日はねちょこっと失敗しちゃいまして、夕方ちょいお昼寝しちゃったんですよね。お陰で薬を飲んでも頭はまだ回転中な訳でして、映画を真面目にみてしまうとなおのこと眠れなくなり、また昼寝てしまいそうなので短時間で行けそうなレビューをチャラチャラ書こうとおもいます。病院話を先ほどの映画でしたので今度は日本の病院な話を。

『世にも奇妙な物語』で落合正幸監督がかつて撮った作品『急患』をセルフリメイクした映画なんだそうです。世にも奇妙なでみた記憶がないのは無念です。

『急患』は原作の中盤~終盤を約20分に詰め込んだ内容で、緑の液体を廊下にぶちまけるシーンや看護婦が何故か天井歩いてたりと意味分からん怖さと近藤真彦が緑の血を流し流しながら絶命するキモさで今のアラフォー世代を怖がらせた作品なんだそうですよ。ちなみに脚本は『踊る大捜査線』などの君塚良一。

そんなセルフリメイクの本作だが、原作の気持ち悪さにプラスして監督お得意の嫌~な雰囲気を出すことには大成功。俳優陣も実力ある人達しか出ていないので、雰囲気作りもすごく上手い作品なので、興味ある人はぜひ視聴してほしいものです。何故配信がないのか……まぁこの昨今では難しいか(笑)


ではいつもの通りネタバレ・感想がありますのでどうぞ未観賞の方はお気をつけください。



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冒頭から経営が破綻寸前な病院の描写は当時は苦笑い程度で見れたが、コロナ禍を経験した今見ると中々笑えないものとなっている。こんな病院あってたまるかとは思うものの、本気で笑いきれない一面が現在の医療現場の未来に見えなくもない。


さて経営難で廃業寸前のとある総合病院では、今日も残り少ない備品(医薬品)と足りない人手で、何とか患者の命を救おうと懸命な救命活動が行われている。

とはいえバイクで転倒し頭部外傷をおっていた青年が外来でぼんやり待ち続けていたが、実際は怪我は酷くヘアバントで押さえられていてハッキリしなかったから待たされたままだったは、心底恐怖すら覚えます。いやいや、何できてるのか情報シートすら取れんのかい!それって病院として成り立ってねーですよ?!


真面目な医師・秋葉やお金に困っているらしい医師・魚住、有能な婦長などが協力して不眠不休の看護を続けていた時一人の患者が急変。(今だったら行政やら労基やらから文句が即入るレベルなのに、あー昔はこんなこともあったかもなんて思っちゃうところが、実は一番怖い)

心配停止になった患者に対し、懸命に蘇生を試みるものの、如何せん誰もが睡眠不足&疲労困憊状態のスタッフ達。医師の薬品の言い間違い・そして普通ならそれに気がつく筈が疲労困憊過ぎてそのまま実施しちゃう看護師。結論医療事故で、患者は死亡。


責任を取ろうとする秋葉医師だが、魚住医師や居合わせた看護師達に諭され、事故を闇に葬る決意をする。元々その患者は重度の火傷をおっており、間違って投薬した薬剤は時間と共に幾らか分解されるし、火傷のため普通の人より数値が高いのは別段おかしくはない。ただ異常程高いよりは体温を上げて更に分解を促進することにする。その患者は身内もなく見舞い客も来ないのだから空いた病室にストーブを運び込み分解を可能な限り促進することにする。

どこかのサイトで腐敗の進行言うとりましたが、このストーブの目的は腐敗ではないんです。病院で腐敗するほどの遺体は既に亡くなっていた方の検視目的で運ばれてくる程度の可能性しかありません。腐敗なんかするほど放置されてたら、逆に病院の管理として一発アウトです。


その頃、救急受付に一台のストレッチャーが置き去りになっているのが発見されます。そこに横たわっていたのは、原因不明で内臓が溶け出した急患患者。

感染の恐れがある為、外部に救援を頼もうにも、只今医療事故の証拠隠滅作業の真っ最中。

それに、本当は一刻も早く専門機関に転送したい秋葉医師ですが、突如現れた赤井医師から半分脅しとも獲れる言葉をも受け、無理やり『未知のウイルスの研究』の為、その急患患者を保護する事になります。


絶妙なここの(ふぁ?なに言うとんの?感)。いやいや、ろくに何の医療すらまともにならないこの環境でどうやって新種なんか研究すんの?あり得んから。ウイルスだとして、防御のための道具もないんだよ?あんたら、素手素顔で感染者に接触する気なの?そしてこれがあり得ないことにもう気がつけない面々が、既に可笑しいんだよ?分かれ?!冷静になれ?!もうとっくに頭おかしくなってんの、君ら!!




その直後から奇怪な現象が次々に起こり始めます


溶け出していた急患患者が消え、その監視にあたっていた師長が感染。ウイルスは脅威の感染力で、看護師や医師をドンドン餌食に。もうここまで感染力強いとブロブみたいだよね、緑だけど。


感染の拡大で、生存しているのは秋葉医師と赤井医師(とその他の入院患者)だけに。

そんな状況下に於いても、平然と薄ら笑いを浮かべ続ける赤井医師。

秋葉医師は彼に疑いの目を向けますが、赤井医師の口から語られたのは、驚愕の事実だった。


緑のスライムが何故感染し伝播し病院関係者が、次々溶けて行くのか。


この作品で最も特筆すべきなのは、赤井先生である佐野史郎の存在なのですよ。一度登場してからの怪奇俳優としかいえない演技そのもの。特殊メイクもなし、眼鏡なしなだけでホラーな存在に化ける。

(昨今そんな人は若い頃の遠藤憲一さんの『妖怪小雨坊』くらいなもんです。誰か本気で小雨坊みたことある人いないかなー、うちの家族は見た(笑)特殊メイク?と聞いたのは母上だけで、素顔で妖怪ってすごくね?と父と私はえらい感心したものだ。)

そんな『どっから見ても120%クロ・感染源はおまえがなんかしたんか?!』な赤井医師に翻弄される、秋葉先生。

この病院を一人必死で正常に保っている、と言っても過言ではないほど、皆に信頼されていた秋葉医師は、何故最後まで感染を免れていたのか?


その全ての答えとなるのが、赤井医師の言葉

『このウイルスは、心を蝕む』

の秋葉先生を突き放すような皮肉な笑い顔。







つまり、医療事故を隠蔽しようとした医師や看護師達は、全て良心の呵責から自滅していったのだ。

謎の感染病とは、罪悪感だったということ。




冒頭であんまり経営には無関心そうに精神科医が、

『目に映る色は、全て脳が作り出した色で、それが本当の色だとは限らない』

説明セリフを口に出していましたが、その言葉の通り、緑のスライム状に溶け出していたのは、赤く滴る血だったと言う事です。


何故、秋葉医師だけが最後まで感染を免れていたのか?

それは彼が医療事故を含め罪をまるで認めていなかったからで、つまり一番良心を持ち合わせていたような秋葉医師が、この病院の中で一番性悪だったという。




医療の現場だからというわけでなく、私は悪くないタイミングが悪かっただけ、私は悪くないあの人が間違ったからみたいな人が最近目につく世の中で、何年も前の映画でそれを指摘されるのは抉りつけられるような気分ですね。


ちなみに、赤井医師は現実の存在ではなく鏡の向こうにいて、正体は?と言いますと、

『重度のやけどを負って意識不明だった患者』

顔も包帯で隠されていたのです。最後に正体がわかるシーンで顔の包帯を剥がされた時、下から現れた史郎の顔はなかなかの恐怖ですけれど、入院時から接していれば包帯交換などで顔もみている筈なんです。そこが医者も看護師ですら患者を患者としてみていないという本質なんですよね。ダメ病院なんだよな、心底。


潰れてしまえ、そんな病院!!!の典型なんですね


罪悪感への感染症といわれると苦しむ自分を、死に至らしめた医療従事者たちへの復讐という見方もあるでしょうが、あの火傷の状態でこんな野戦病院みたいなとこに置かれていても、正直なにもならないし、あのレベルだと医大や最前線の病院でも治療は難しかったであろう状況。だから医者達に緑のスライムを伝染させたのは彼ではないと私は思います。

だったら、何で最後に精神科医まで緑スライム地獄に陥ったのか。そとの外壁だけ新しく見えるだけで何一つまともな医療の提供ができない。というよりもそれ自体がもう不可能だとわかっていて、自分の罪悪感を感じない分だけしか仕事をしていない。そして、やってきて起こった悲劇の事態をしって、少なからず罪悪感を持たない人間なんかいるんでしょうかね?

患者には感染していないのは、患者は治してもらうために頼っていて、まさか医者や看護師がそんな適当なことしてるなんて微塵も思わないからかな?


逼迫した状況で起こった医療ミスのシーンは正直嫌なものを見せられたという居心地の悪さを感じる。でも 結局、未知の症状の患者は最初から存在せず、主人公達が罪悪感と自罰意識で見た集団幻覚による自滅だったという………と見せかけて実は罪悪感の感染は……みたいなオチは賛否は分かれるかもしれないですが。ちなみに原作の小説版だともっと恐ろしい終わり方をしているらしいですよ。


では、真夜中にこわーい病院のお話で今夜は終わりにしたいと思います。もし、機会がありましたら是非一度ご鑑賞を。ただし、今はそんなことない筈と唱えながらご覧ください。

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