碧の日々徒然

碧の日々のことを徒然と

映画34本目 『トンソン荘事件の記録』2023年公開作品

さて、ジワジワ続くホラーの宴。大丈夫です、まだまだ沢山あるんで(違う(笑))本日はKホラー、最近のBGHお気に入り作品です。いや、内容はちゃんと見てますよ?内容が好きだからBGHになるんですよー(笑)

1992年、釜山のトンソン荘という旅館で、アルバイトの男性が恋人を部屋に連れ込んで殺害すると同時に、その一部始終をカメラで撮影した。逮捕された男性は心神耗弱による無罪を主張したが無期懲役の判決を受け、仮釈放の1年前に自殺。検察庁は犯人が残したビデオを残虐過ぎるという理由で封印するが、映像には検事たちの興味を引くあるものが映っていた。


およそ30年前に起きた猟奇殺人事件の犯人が残したビデオにまつわる、フェイクドキュメンタリースタイルのホラー。殺人犯が撮影したビデオに映った、あるものの調査をする取材班を描く。監督などを手掛けるのはユン・ジュンヒョン。ソ・ヒョヌ、チョ・ミンギョンらが出演。


さてここからは何時もの如くネタバレ・感想ありですので未観賞の方はご注意ください。




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2019年、寺に放置された車から映像素材が見つかる。映像は検察に押収されたが、映像制作会社は訴訟を起こし映像を取り戻した。そして、その映像を編集し完成させた作品が『トンソン荘事件の記録』。 


1992年、釜山の旅館『トンソン荘』で凶悪な殺人事件が起こる。それは旅館で働くアルバイトの青年が、旅館に恋人を呼び無惨に殺害したという内容。事件の一部始終は青年が用意したカメラで撮影されていた。記録された映像はその残虐性から、当局によって封印された。また青年は裁判で神経衰弱による無罪を主張したが、無期懲役となったのち仮釈放の1年前に自死した。


当時、検事らの間で事件の記録映像が話題となったのは、映像内に【そこにいるはずのない何者か】が映っているからだという。



事件に注目した撮影班は ドキュメンタリーを撮影することに。監督は後輩で記者のホン・ウ二の協力のもと調査を開始。その映像を見た検事は『鏡に帽子をかぶった学生のような青年が映っていた』と答える。


ビデオを探し当局の証拠品を管理している場所をあたる撮影班。事件の証拠品が封印されているという部屋の天井は、被害者たちの怨念からか真っ黒になっていると聞かされる。しかし当のビデオは見つからず、年数からも破棄された可能性が高い。破棄された証拠品を処理する事務所を尋ねてみてもビデオは見つけられず、事件の映像を見ることは不可能と思われた。


そんな時、当時青年を担当した弁護士の遺品の中からビデオを発見する。ただそれは原本ではなく、証拠映像として提出された『コピー』であるため、刑事の声も入っている。撮影班で音声を解析すると、事件映像には変な声が入っていることが判明。その声は『父さん』と言っているように聞こえた。



撮影班はトンソン荘を訪ね、残っていた事件現場の部屋を確認。その後、近隣住民に聞き込み調査を行い『旅館があった土地で、トンソン荘事件以前に何か起きなかったか』と尋ねると、ここではなにも起こっていないと答えられる。ただ、トンソン荘の主人は以前住んでいた場所で不幸な出来事にあい、それを機に持っていた土地を売り、それで得た金で旅館を買ったのだと言う。 

更に主人は、今もトンソン荘の上階に住んでいるとのこと。撮影班は主人にインタビューを申し込み、以前持っていた土地で何があったか問いかける。


すると『息子が母親と妹を殺害し、自身も焼身自殺を図った』という恐ろしい事件が起きていた。件の一家とトンソン荘の主人は『遠い親戚』であったという。主人は一家の雑用係として働いており、事件後に土地を引き継ぎ、やがてその土地を売って旅館を始めたと言う。


撮影班は『ビデオに映っていた学生姿の青年は、その焼身自殺を図った息子ではないか』と考え、過去に起こった一家殺害事件について調べ始めた。


一家殺害が起こった家も、まだそのまま廃屋として残っていた。そして近所の人々に聞き込みを行うと『泣き声が聞こえてくる』『近くでビデオを撮影していたら変な声が入った』と不気味な証言が幾つも集まる。

撮影班は一家殺害が起こった廃屋を訪れ、記者ホンは写真を見つける。写真に写っていた青年は、トンソン荘事件のビデオに映った学生姿の青年とよく似ており、その青年に間違いないと撮影班は確信を持つ。



更に廃屋の傍に住む祈祷師に廃屋を見てもらい、儀式を執り行うことに。祈祷師は『そこに何かがいる』と理解しており、写真を触ったホンの身も心配する。その頃ちょうどホンはインフルエンザで入院しており、儀式の撮影には参加できない。

少しずつ事実が明らかになっていく最中、事務所が何者かによって荒らされ、ホンの家族からは『何やら変な言葉を呟いて、ホンがどこかに行ってしまった』と連絡が入る。ホンは一家殺害があった廃屋の庭で、何かを探そうと土を掘り起こしていた。爪から血が出ているのも気にせず、一心不乱に掘り続けるホンは尋常ではなく取り憑かれてしまっている。



撮影班は、死んだと言われる父親について改めて調べることに。すると、自殺した青年と妹は異父兄妹であり、一緒に住んでいたのは青年の叔父に当たる男であると分かる。そのため妹はお父さんと呼ぶが、義理堅い息子はけして叔父を父親とは呼ばなかったという。


そして、ベトナム戦争後福祉施設に入所していたとされる父親(兄)は施設から脱走し、一度警察に捕まっていたことが分かる。


施設の閉鎖と同時に再び父親が(兄)行方不明になった数日後に、一家殺害事件は起きてた。撮影班は父親(兄)は一家殺害事件の現場にいたのでは?もしや事件に関係があるのでは?と推測し、その真実を青年は伝えようとしているのではと考える。 




祈祷師は『何かを見つけなければ霊が離れない』と言い、大規模な儀式を執り行う。長々と儀式が続き黙り込んでいたホンが口を開くが、祈祷師の質問には答えようとしない。

青年の目的は何か、何を見つけようとしているのか…

ホンが取り憑かれたまま向かった廃屋で、父親(兄)と弟は『双子』であったことが判明。そしてその双子と共に母子の写る写真の裏には事件の前の日の日付と『父さんが帰ってきた』と書かれていた


当時の弟への事件後の尋問を記録したテープ音声にて、弟は『手の怪我』について聞かれ、転倒したと答えていた。しかし、父親(兄)は福祉施設を脱走した後に事件を起こし、その際に手に怪我を負っていると記録に残されていた。

撮影班が取材した際トンソン荘の主人は手に傷跡がある姿が写されており、『弟になりすました父親(兄)』である可能性が浮上する。



一度落ち着いていたはずのホンが再び姿を消し、撮影班は必死に探す。ホンは何故かトンソン荘事件のビデオの原本を持っていて、ホンの部屋の天井は真っ黒に変色していた。

撮影班は『トンソン荘事件の犯人(アルバイトの青年)が、どこでいつ捕まったのか』が気になり調べる。5月5日のこどもの日に、犯人は山奥の寺の付近で捕まっていた。そこに同じ様に取り憑かれたホンも向かったのではと撮影班は車を走らせる。


現場に到着すると、そこにはあの息子の写真が置かれた祭壇が。そこにはホンの姿もあるが……様子がおかしいのは一目瞭然で↓このカタンが怖いんよ!


狂気に取り憑かれた記者に撮影班が襲われたところで、映像は終了。のちに逮捕されたホンは『自分は何もしていない』『記憶にない』と訴え続ける。

最後にホンが訪れた場所には、トンソン荘の主人……弟になりすましていた父親が、毎年息子の命日に訪れていた。そして、映像の最後には怨み言を言いながら父親に近づくホンの姿が残っていた。

その後廃屋の階段の下からはコンクリートで固められたドラム缶の中から双子の弟の遺体が発見されたのだった。





近年の流行りなのだろうが、ホラー映画はどうやら、『 フェイクドキュメンタリー』との相性が非常に良いようだ。勿論POV形式のホラー映画もあるが、こちらも同じく登場人物が持つカメラの視点で映画が展開していて自分も巻き込まれている没入感がある。

フェイクドキュメンタリーは、ドキュメンタリーを撮影しているという視点だから、一人称の視点ではないのだが臨場感を味わうのに向いているし、いかにも実際に起きた事件を追っているかのような錯覚を感じさせる。

今作ではあえてジャンプスクエアを使用せず、儀式の場面も非常に多いが穏やかで派手な血反吐なんかはない。そんなところが、絶妙なさじ加減でリアルなのだろう。まぁ、一度だけ画面に予期しない顔が入り込んだ瞬間は


ヒェェッ!!!(゜ロ゜ノ)ノ


となったが、そこがどこかは明記しないので、本編にてゆっくりお探しください。

しかし青年の霊の存在だけでなく、背後にある一家殺害事件の生々しさは、似たような事件が現実にあってもおかしくない。しかも父に怨み言を言いたくなる息子の気持ちは痛いほど良く分かる。


結局は精神的に不安定な父親が自分の不在中に家を乗っ取られたと、弟を殺し、弟と不倫した妻と弟の子供を殺し、自分の息子に罪を被せて焼き殺したということなのだろうと思った。


じゃなきゃ自殺した人間が熱いと足元を払う仕草の意味が繋がらない。焼身自殺は大概頭からガソリンなどをかぶり手元で火をつけるので、足からというよりは上の方が燃えるのが多いのだ。


しかも父親はその後も家の庭で待ち続ける息子に会うことなく、弟のふりを続け家から逃げてしまう。仕方がないと父の罪を被ったとしても、そりゃ化けて出たくもなるだろうさ。ただね、その出方の方向が違うのが残念だ、息子よ。他人でなくてね?


父に向かえ!父に!!!


とは思うものの、慕う父だからこそ直接向かえなかったのか。しかもお寺に命日にきてたと言われたって、あのホンが取り憑かれて怨み言を言っている姿を見たら、父親に裏切られ殺された怨念が簡単に消えそうにないのは分かりきっている。

愛情深いからこそ恐ろしく、恐怖を抱くのも恐怖を抱かせるのも人間であるということを改めて感じさせられる話である。

そんなわけで今夜もいい具合に夜も更けて参りました。皆様穏やかで良い夜をお過ごしください。

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