映画38本目 『呪葬』2024年公開作品
夕方に突然の夕立。所謂ゲリラ豪雨とまでは酷くはないけれど5分くらい強い雨足を眺めた後、そろそろ秋の気配なんだなぁと空の高さを見て思う碧です。そんな秋の夜長を思いながら、再びほんの数時間でホラーの宴をするつもりです(笑)今回は再びの台湾ホラーになります。

亡くなった祖父を弔うため、チュンファは疎遠だった実家に娘のチンシェンを連れて戻って来る。冷淡な父親と他人行儀な母親、嫌みばかり言う姉とおどおどした義兄らに囲まれ帰途を迫られるチュンファだったが、初七日までは実家にとどまろうとする。しかし彼女はそこで悪夢にうなされるようになり、娘のチンシェンもまたチュンファと同じように、悪夢や奇妙な物音に悩まされるのだった。
台湾における初七日の風習を題材に描くホラー。祖父の葬儀のために帰郷した母親と娘が不気味な屋敷に迎えられ、悪夢と正体不明の恐怖に見舞われる。監督はシェン・ダングイ。セリーナ・レン、チェン・イーウェン、ナードウらが出演。
さてここからは何時も如く、ネタバレ・感想となりますので、未観賞の方はご注意ください。
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台北で暮らすシングルマザーのチュンファは、内職やスーパーの夜勤で昼も夜も働いていた。娘のチンシェンは腎臓が悪く腎臓のドナーを探しているし、手術費用は高額なためチュンファは日々必死に働いている。
ある日、叔父から電話が。祖父が亡くなったという。大好きな祖父を見送るため、チュンファは長らく疎遠であった実家に帰ることを決めた。
娘チンシェンは『曾祖父がいることなど知らなかった、どうして教えてくれなかったの』と尋ねるが、チュンファはその質問には答えない。
母娘を叔父が出迎え、実家に帰ってきた二人。チュンファの父親とは母親が違う叔父は、『家族』とは認められず別に住んでいるという。
実家に帰ると、叔父の友人のミン祈祷師が祈りを捧げていた。10年ぶりの家族は娘であるチュンファに『誰も歓迎していない。帰れ』と父は冷淡な態度。姉には『遺産目当て』等と嫌みを言われ、母も義兄も素っ気ない。それが最初から分かっていたようにチュンファは『初七日が終わったら帰るから、私たちに構わないで』と愛想もなく返す。一方、初めて母の実家にやってきたチンシェンは、部屋で『何かがいる』のを感じ取り恐怖を感じていた。
最初はチンシェンの言うことを信じなかったチュンファだが、自身も悪夢を見て『私たちはここにいるべきじゃない』とチンシェンと帰ることに決めた。

この悪夢が恐い。薄暗く回廊のような作りの大きな家の片隅の部屋。昔暮らしていたのに、違和感を感じさせる家の中の空気感。そして追いかけてくるモノの肌の質感がね……黒って恐いんだけど
帰る支度をしていた二人は叔父を訪ねる。しかし、かつて住んでいた家には別の人が住んでおり、叔父は寺に身を寄せていることを知る。寺に住み色々学んでいるというが、その理由が母親が亡くなり住む家がなくなったからという叔父。実家に住めばいいとチュンファは言う。だが、叔父は『家族ではないから……それに君の父親と一緒にいたくないんだ』と言う。
あの親父、異母弟にも実娘にも辛辣か……救いようないな←と真面目におもったわけだが……
帰る支度をしているところで、チンシェンは叔父に『君の母が家を出た理由を知っているか?』と聞かれ、『教えてくれなかった』と答える。叔父は『君を妊娠していたからだ』と教えた。
え?なんで今ここでそんな話教えんの?なんか叔父さんも実はやな奴じゃない?やっぱ兄弟かー
学生妊娠したチュンファは、父親に『まだ子どもを育てるのは難しい、相手は誰だ』と問い詰められるも答えず、『私が1人で産んで育てる』と父の反対を押し切って家を飛び出し出産。以来働きながら1人でチンシェンを育ててきたのだ。
自分のために母が頑張っていたことを知り、叔父に『大好きな祖父を見送りたいと思っているんじゃないかな』と言われたチンシェンは『葬式が終わってから帰ろう』と母に言う。その言葉にチュンファは、引き返す決意をする。
ところが家に帰ると、家族が皆恐ろしい顔で血を流している。『皆なぜあのような顔に?』と首を傾げる背後に叔父の姿が……次の瞬間、チュンファの首に紐をかけ引きずりだす。
チュンファが目を覚ますと、そこは家の近くの森の中。目の前には木に首を吊られた状態の家族の死体がぶら下がっていた。チュンファはあまりの衝撃に叫び出す。そこには叔父も立っていた。やっとチュンファは、実家に何が起こっていたか理解し始める。
チュンファが実家に帰省した時には、もう家族はこの世にはいなかった。チュンファが見ていたのは、家族の亡霊だった。そして家族を殺したのは、チュンファを実家に呼び寄せた叔父。
婚外子として排除され、祖父の遺言に名前すらも載っていないことに怒りを募らせ、家族を殺した叔父。
『皆で首を吊ってこれは何ていうか、一家団欒だな』
いやーっ最低っ!!(#゚Д゚)ゴラァ(怒
そしてチュンファを吊り上げた後、歩み去っていく。必死に抵抗しても、チュンファの意識は遠のいていく。『チュンファ!』そんな彼女の名前を呼んだのは、他でもない父の声だった。その瞬間チュンファを吊るしていた紐が切れ、チュンファは息を吹き返す。
チュンファの周りには、家族の姿が。亡霊となった家族たちはあえてチュンファに冷たくすることで、帰るように仕向けていたのだ。
全てはチュンファとチンシェンを守るため
ええぇぇ(;Д;)そうなん?!
父はチュンファに『ずっと会いたかった』という。仲違いして家を飛び出したチュンファは、10年も実家に帰ることはなかった。実は父は娘を心配し、台北までチュンファに会いに行っていた。でも素直に会いに来たと言えずに姿を遠くから見つめ、一生懸命働き孫娘を育てる姿を見守っていた。
お、おとうちゃーん!!実は大事に思っとったんやんかー!(;Д;)ふぁあ
皆が叔父のこと、自分達が死んでいることを言えなかったのは、叔父に操られて真実を言えなかったからだった。
Σ(゚д゚lll)うぞっ!諸悪の根元あっち?!
再び叔父が現れ家族の霊を次々消滅させてしまう。逃げようとするチュンファに叔父は『逃げてもいいが、娘はどうなるかな』と脅す。
その頃、チンシェンは葬式に参加していたはずが、ミン祈祷師によって眠らされ殺されそうになっていた。そんなミン祈祷師の前に現れたのは、祖父の亡霊。
『お前のせいだ』『婚外子を蔑ろにするから、俺の親友がどれほど苦しんだか知っているのか』とミン祈祷師は叫ぶが、祖父の亡霊によって命を奪われる。
森の中チュンファは何とか叔父に反撃して石で殴つけるが、父を助けることはできず叔父によって最後に父の亡霊は消滅させられる。チュンファは父との別れに涙しながらも、娘を救うため走り出した。チンシェンの元に辿り着き二人で逃げようと警察に通報するが、そこにまたしても叔父が出現。
『結局抵抗したところで結末は変わらない』
と叔父は呟き、車のトランクに二人を閉じ込める。車で走り出そうとした叔父だったが、異変を感じ取り身構える。叔父の命を狙っていたのは、祖父の亡霊。次の瞬間、叔父は恐怖の叫び声を上げていた。
暫くして警察が到着し、トランクで寄り添うよう母娘の姿を発見したのだった。
場面が切り替わり、病院が映し出される。
『家族の提供だからこれで助かるだろう』と言われていたのはチンシェン。だが、その傍にチュンファの姿はない。手を洗い鏡を見つめるチンシェンは、歯を鳴らすような仕草を無意識にした。それはあの叔父の癖と全く同じ仕草だった……
この作品は台湾の『初七日』の風習を題材に製作されたそうだ。台湾の『初七日』は故人が死後7日目に自身の死を悟り、死者が家族に別れを告げに帰ってくるという台湾では誰もが知る風習だという。日本の『初七日』とはちょっと違う。日本の初七日だと、故人はわりとフヨフヨして家にいるイメージだから。
大好きだった祖父に別れを告げるため、疎遠であった実家に帰ることにした娘が、歓迎されていなくても初七日まではいると決めたのは、その風習が人々に根付いているからなんだろう。確かに大好きな人が別れを告げに来るなら、その日まで是非とも居たいと想うのは分かる。
作品とすれば帰った実家の様子がおかしい・ここには何かいる……といった心霊系ホラーなのだけれど、結局はその背後にいるのは人間で、霊より恐ろしいのは人間だという展開。
それにチンシェンは、台北にいる頃から何者かにつけられている恐怖を感じていた様子だった。更に叔父の「娘は操りにくい」という発言からも、以前からチンシェンを狙っていたのではないかと推測はできる。ただ何者かのどれかは(もしかして結構多くかも?)チュンファの父親だった可能性も高いけど。
お父さん、お孫さんストーカーかなにかだと思ってますよ(涙)素直に出てきて、おまえ達に会いに来たと言えばよかったのに
チュンファの父と叔父は、父親が同じでも異母。そのため、叔父とその母は家族として受け入れられず冷遇されていたというのはある程度事実だとは思う。叔父が家族皆を憎む発端は、祖父にあったということではある。しかし、作中では叔父側の主張しか分からず、叔父に対しチュンファの父がどう思っていたのか、祖父がどう思っていたのかは出てこない。
何しろ作中での父は既に亡霊で、叔父に操られ話したいことも話せない状態だったし。祖父の方は7日目でないとやってこないわけで。
父娘にはすれ違いがあったのは分かるが、全く別な溝というか歪みが家族と叔父の間にあったのが感じられる。正直に言うのだが、父の娘に対する態度や娘が祖父に対する愛情を見ると、叔父側に何か問題になるものがあったんじゃないだろうか?
家族と言いたくない叔父母子の何か。正直に思うところを言うと家族を簡単に森で吊るすような行動をする性格が、後から形成されるとは思いがたい。作中にあるのだが寺に住みこみ呪術を身に付け、それを姪に向かってかけるって人格破綻してないだろうか?育つ内の怨みがそこまで歪ませた?ほんとに?
何かあったから知ってる叔父の父である祖父は家族として彼に何も残さなかったし、生きている内には家族に手は出させなかったといえなくはないだろうか?
だけど最悪なのはエンディング。
家族やら孫曾孫を助けようと初七日に戻ってきたおじいちゃんある意味大活躍だった。おじいちゃんの幽霊パワーを見てると、孫のチュンファや曾孫のチンシェンが何か見えるのは血筋な気がする。まぁ、叔父もその1人にはいるんだろうけれども。
けれど……結末は変わらないの言葉通りだとしたら。
初七日に戻って来るおじいちゃんの行動を見越してチュンファを呼び戻し、チンシェンにじかに接触して術を先んじてかけておいた用意周到な叔父。しかも事を起こすのを知っていた親友の後始末まで想定していたら……ちょっとではなく気持ち悪いオッサンなのだけども。しかも結局亡くなったチュンファの腎臓を移植したチンシェンに成り代わったら、唯一の生き残りになったチンシェン(中身叔父)に遺産も何もかも転がり込む……のか?
誰か因果応報という何かでアイツに天から槍を投げつけてやってください!………そう祈らずにはいられない碧なのだった。
こういうわけでハッピーエンドかと思いきや、実は一番のバットエンドをぶちかまされた台湾ホラーなのでした。
現在アマプラで配信中ですので機会がありましたらご覧になってみてください。では、いいぐらいに暗くなったところで、本日のホラー映画なお話でした。